2012年5月11日 Comment 1 食の話 しばらくパティシエの弓田さんの話を聞いていた。家庭料理では灰汁抜き、下茹でなんかは一切しなくていよろしいと言っていた。煮干しも、腹を除く必要はないと。重要な栄養分、味や香りを捨ててしまうだけだって。 切り干し大根も、乾燥したままを鍋に入れて、一緒に煮ればいいんだとか。 でも実際、お店で売ってる切り干し大根は漂白されてそうでそのままはなんとなく怖いな。 出自がわかる食材って重要だ。 家庭菜園をやっている人ならわかると思うんだけど、自分で育てた野菜は、軽く洗えばそのまま使える。殺虫剤をかけていない事は自分がわかっているし、新鮮だし、穫ってそのままキッチンに来るから清潔。そういう事にずっと慣れ親しんできた僕の母は、父が野菜作りをできなくなった今、せっせと自分で野菜を作っている。 ちなみに今日の僕の料理は、米がなくなってしまったのでパスタ。パスタの付け合わせは芯摘み菜(かき菜)の蒸し焼き。最近僕は均一に野菜を炒めない方法を気に入っていて、野菜の一番火が通りにくい芯の部分を鍋にしいておいて、あらかじめ塩こしょうは振っておき、中火で半分火を通し、残りの野菜を入れて弱火でふたをして蒸すという事をしている。その間一切かき混ぜる事はしない。厚めの鍋を使うから火を止めたあとも徐々に余熱が効くんだけど、下の野菜の一部は少し焦げ目がついて、上部は蒸されて、元の形をそのままに保った野菜をそのままの形でパスタの上に置いて食べるのが、とっても美味しいと感じる。野菜から出た水分と塩こしょうがソースとなって十分に美味しい。 そう言えばこの芯摘み菜、こーじまちゃんが柔らかそうな細い芽を選んで摘んできたんだけど、母によると芯摘み菜に限っては太いものほど柔らかいのだとか、本当かな。 冬野菜もなくなって、野菜がほとんど穫れない3月から5月は芯摘み菜ばかり食べている。だんだんとアスパラの時期になってきているから今度はアスパラ三昧かな。結構旬になると同じ旬の野菜ばかり食べている生活だ。FAMFARMみたいにもっとたくさんの野菜を作ればいいのだろうけど、現実には1月の厳冬に苗を育て、まだ寒さの残る3月に成長する野菜となると、ハウス栽培でないとなかなか難しいらしい。かといって冬にトマトや茄子などが店頭に並んでいても不自然に感じてしまって、あまり買う気がしない。困ったものだ。 弓田さんは、下肥のかわりに化学肥料を使う農業の影響で日本は味が薄い野菜ばかりだと言ってたけれど、形が良いだけで味は希薄な野菜が栽培や消費者に好まれて、今広く栽培されているのがそのような種類の野菜だというのもあるのだろう。ひどい話では、料理の味付けに野菜の味がじゃまだという料理人もいると聞いたことがある。