2010年7月15日 Comment 0 クリスマス島からの手紙 お元気ですか。夜遅くまでパソコンにむかって、キーを打っているのでしょうか。 僕はこの間、久しぶりにルーマ・ティンギの前の、崖の上を歩きました。崖の下は 海です。そこはぎざぎざにとがった岩がずうっと続いている所で、土なんかほとんど ありません。それでも、少しでも土のあるところには、背の高い木や草が生えて いるのです。僕が、木がたくさん生えているところの、ちょうど人ひとりが通れる位の トンネルみたいに、木の枝がそこだけない所を、歩いていると、右側の木々の枝のかげの 、落ち葉のたくさんある上に、白いきれいな鳥が座りこんでいるのを見つけました。 その白い鳥は、そこを巣にして、卵をあっためているのでした。その鳥ときたら、 そのくちばしはまるで、サラダにするように切り分けられたトマトのように、つややか で新鮮で、透き通った赤い色をしているのです。そして尾っぽのところには ちょうど 指揮者のタクトみたいに、すきっと伸びた真っ赤な尾をつけていました。 ところが、僕にはまったく、その鳥をとってやろうだとか、抱いている卵を食べてやろう などとは思いもしないのに、その鳥はちっともわからないで ちょっと羽を開いて、 卵の上に低く伏せって、ぶるぶる震えているのです。真っ黒な大きな目をぱちくりして います。僕はそのきれいな鳥が可哀想になって、そっと、驚かさないように立ち去り ました。 それから 僕は 雨が降ると、あの白くてきれいな鳥は、雨に濡れて黒い目を ぱちくりさせて、あたまをやけにふっているんじゃないかと思いました。 その何日かあと、そっとのぞいて見ましたら、ひながかえっていました。母親のはねの下 に入って、よく見えなかったのですが、白い羽毛に包まれていて、くちを開くととても 赤いのが目につきました。 RUMAH TINGGI(ルーマ・ティンギ)はインドネシア語で、「高い家」という意味だ そうです。僕の働いているレストランです。