2005年4月6日 Comment 0 高原列車の移動(クスコ→プーノ) 昨日マチュピチュの麓の町アグアス・カリエンテスからクスコに帰ってきて、速攻でプーノ行きの列車を予約しておいた。今はその列車に乗っている。 チチカカ湖畔の都市プーノからコパカバーナ方面でボリビアを目指すのだ。 この列車の景色はまさに絶景というにふさわしい。所要10時間、川に沿って線路が続き、いくつもの美しい農村を通り過ぎていく。高度が上がっていくと、 さらに家はまばらになり、高原湿地帯になる。川は小さな流れになり、両側の山に雪が見える。4000M以上の高峰だ。 それから峠を越えると山がひらけて広大な湿原が現れる。遠くにはアンデスの山々。どこまでも続くような平原を、インディオの女性が 派手な民族衣装を身につけ牛を追っている。湿地が川になり、川が湿地になる。どこから来たのか、どこに行くのか、何もない平原を少女が歩いていく。 羊飼いの少年。 そんな風景を何遍も何遍も通り過ぎて行った。寒くもなく、暑くもない乾いた気候。本当に美しい。 ペルーの鉄道は最近民営化されたらしく、頻繁に料金を引き上げている。 また、今までは一番安い等級(ローカル)のチケットも外国人が買えたのに、もうそれができなくなっていた。 等級は3段階あり、安い順からローカル、バックパッカーズ、ファーストである。 僕の持っていた古い情報ではクスコ駅⇔マチュピチュ駅(アグアス・カリエンテス)往復がローカルで$10だったが、その後外人は買えなくなり、 また何度か値上げされ、現在ではバックパッカーズ$65というとんでもない値段である。なお、今でもペルー人の買えるローカルのチケットは$10だ。 このプーノ行きの列車は昔は窓が開けられて、駅で止まると地元の人たちが物売りにやってきて窓越しにお弁当や飲み物、民芸品を買うことができたそうだ。 しかし今ではこの外人専用の列車に限っては駅構内には乗客以外の出入りが制限され、旅客以外人っ子一人いない、きれいなものだ。 また途中の駅には止まらず、窓も開かないので旅客は車内販売の物しか買うことができない。しかもそれが適正価格の6倍以上もする。 このシステムでは旅行者にとって安全性がかなり高いし快適だけれど、この国の実情とかけ離れた列車の内装や値段を思うと頭を傾げたくなる。 この国ではレストランで1ドル払えば庶民にとっては豪華な食事ができるのだ。 普段、贅沢をせずローカルと同じような金銭感覚でお金を使っているのに、マチュピチュとなるとたがが外れてとんでもない額を払ってしまう。 お金を払うなら少しでも地元の人の助けになるような使い方・その地域の文化を守るような使い方をしたいと思っていて、大型資本のお店や 旅行者専門でやっているようなお店は避けるようにしているのに、こんな、地元の人となにも接点のない鉄道会社にぼろ儲けさせてしまうなんて、 本当に残念だ。(文・伊藤) ○私達の南米横断旅行の記録は、TransAmericaから。交通手段、安宿情報もあります。